新築で購入してからまだ5年、あるいは10年。家全体を見渡しても、特に目立つ傷や不具合はない。それなのに、最新の住宅設備やインテリアのトレンドを見るたびに、「うちもそろそろリフォームした方がいいのでは?」と焦りを感じてしまう。そんな「築浅リフォーム」を検討している方に、一度立ち止まって考えていただきたいことがあります。多くの場合、築年数が10年未満の家は、焦ってリフォームしないほうがいいと言えるのです。その最大の理由は、費用対効果の低さにあります。住宅設備には、それぞれ交換時期の目安となる「耐用年数」が存在します。例えば、システムキッチンやお風呂(ユニットバス)、トイレなどの水回り設備は、一般的に15年から20年程度は問題なく使用できるとされています。給湯器も10年から15年が目安です。築10年未満でこれらの設備を交換するということは、まだ十分に使えるものを、本来の寿命の半分も待たずに捨ててしまうことになります。これは、経済的に見ても、環境的に見ても、非常にもったいない行為と言えるでしょう。もちろん、「最新の食洗機が欲しい」「掃除のしやすいトイレにしたい」といった具体的な要望があるかもしれません。しかし、そのために数十万円、数百万円という費用を投じる価値が本当にあるのか、冷静に考える必要があります。まだ使える設備を無理に交換するよりも、その予算を将来、本当にリフォームが必要になった時のために貯蓄しておく方が、はるかに賢明な選択です。また、築浅のうちは、まだ家の木材が完全に乾燥しきっておらず、わずかな収縮や動きが続いている状態です。この時期に大規模なリフォームを行うと、後々、建物の動きによって歪みや亀裂が生じるリスクも考えられます。もちろん、明らかな初期不良や、生活に支障をきたすほどの不具合がある場合は別です。しかし、単に「流行遅れになったから」「もっと新しいものが良いから」という理由だけで、築浅の家に手を入れるのは、多くの場合、リフォームしないほうがいい選択なのです。